陰陽座@JCBホール

♪焔之鳥〜鳳翼天翔(陰陽座)

本年のLive納め。
まあどうせセットリストも盛りだくさんで途中で瞬火(Vo、B)兄貴が長いMCを始めて、
結局なんだかんだでアンコールも何回もやるんでしょ?
と思っていたが、終わるまで4時間経過していたのにはアクセル・ローズ(GUNS'N ROSES)もびっくりだ。
勿論セットリストも盛りだくさんで兄貴が長いMCを始めてアンコールは3回やった。


そんなわけで3年連続3度目の参戦。
実際毎年行くかどうか考えるのだが、結局行くことになるんだよなあ。


本公演は結成10周年記念ということもあり、記念の鏡割りをやったり色々あったが、
別段初期アルバムの全再現をするとかでもなく、陰陽座クラシック固めうちというわけでもなく、
「自分達の好きにやらせてもらった」そうな。
そんな訳でぶっちゃけセットリストの印象は普段のアルバム発売ツアーと変わらない。
個人的にプリーストっぽい「焔之鳥〜鳳翼天翔」とか、
ドラマチックな大曲「道成寺蛇ノ獄」とかはポイント高い選曲。
正直最近がっつり聴いているわけではないのだが、「龍の雲を得る如し」は歌詞が完全に頭に入っていた。。。

ライブ各論

とりあえず何時ものことだが、黒猫(Vo)嬢の歌声が素晴らしい。
フロントパーソンとしての華、表現力、ハイトーンの甘み、シャウトの切れ味とどれをとっても申し分ないし、
パフォーマンスがライブ≧スタジオ盤となる所謂「本物」の一人だと思う。
かなりの声量を必要とするメロスピ系疾走曲「蛟龍の巫女」を歌い切ったのは痺れた。
となると瞬火兄貴の男性ボーカルが弱い感じがするのはご愛嬌。
ちなみにスタジオ盤に聞き劣りするほどではないです。


あと、河塚篤史(Dr、ex.陰陽座 aka 斗羅)が予想以上にパワフルなドラミングで良かった。
今まで特に印象に残っていなかったのだが、「鎮魂の歌」のあの軍歌調ドラミングは格好良い。
狩姦(G)と招鬼(G)両先生のギタープレーは正直怪しいところもあったものの、
元々テクニックよりリフ、ソロフレーズで勝負するタイプの曲が多いため特に気にならない。


まあそれも含めて、基本的に陰陽座のライブはCD通りのパフォーマンスであり、
期待して期待通りのものが確実に出てくる安心感はスタジオ盤同様、国内のHMバンドで随一。
実際今回のライブパフォーマンスもお腹一杯、満足行くものだった。
やっぱりキメフレーズが確立してること、日本語歌詞のなじみやすさ、ボーカルの安定感、
お約束的ノリがブレないこと、この辺は大きい。

陰陽座の立ち位置

瞬火兄貴の長いMCは毎回何気に含蓄がある話になるのだが、
今回は10年を振り返ってスタートした当時以来の立ち位置の微妙さを語っていた。
陰陽座は化粧をしたり水干風の衣装で歌ったりする事から、ヴィジュアル系扱いされる事が多い。
*1
一方一部のメタラーからはサウンドを評価され、HM専門誌のBurrn!で取り扱われてもいる。*2
更に言うと、「甲賀忍法帖」がアニメ主題歌だったことからアニメファンからも注目されている。
そういう支持基盤のはっきりしない中で、特に何がどうと語るわけではないにしても、
その苦労を語る兄貴の言葉には心情が滲んでいた。
勿論、フルハウスJCBホールを眺める感慨、オーディエンスへの感謝の言葉もまた良く伝わってきた。


○○でもあり△△でもあり××でもある、ということは、
どれか一つではないと同時に、その全てに通じるということ。
彼らはオンリーワンであると同時に、
伝統的ヘヴィメタルの連綿とした流れの中にもいる、特異なバンドなのだ。


といってもまあ、
ヨーロッパあたりだと「ジャンヌ・ダルクをテーマにしたコンセプトアルバム」とかは普通にあるし、
バンドメンバーに「職業:エルフ」がいたりするバンドもあるので
日本のヘヴィメタルシーンに開けてない一面があるというだけなのかもしれないが。。。


正直聞き手を選ぶ面はあるのだが、
個人的にはスタジオアルバムを聞いて気に入ったら是非見に行ってほしいライブでありバンドの一つ。
チケットも比較的安いし、コンスタントにツアーを組んでくれてるしね。

*1:近所のTSUTAYAではヴィジュアル系の棚においてある

*2:ただやはり色物的な外見、日本語歌詞への抵抗は強い