時計じかけのオレンジ

不良青年のアレックスは数々の悪行を働いた末、殺人の罪で刑務所に服役することとなる。
彼は模範囚を装い、「二週間で自由の身になれる新・心理学療法」の被験者となることに成功するが、
その療法を受けたことで彼の人生は更に大きく狂っていくのだった。


ある一面ではギトつくほどの暴力描写・性描写を打ち出し、
またある一面ではその因果応報をこれでもかというほどに見せ付けながら、
しかしどこかで賛美しているような雰囲気を漂わせる。
主人公を時に徹底的に痛めつけながらも、全く悲劇のヒーローにはせず、
しかも「悪漢」としての魅力をふんだんに撒き散らして描く。


これを見る人間の「こうあってほしい」「こうあってほしくない」という願望を分かりながら、
あえてストレートにそれを満たさず、せせら笑うように、「ありのままに」物語を描きあげる。
そんな狂気じみたタッチの作品。


何となく見終わってサドの「悪徳の栄え」を思い起こした。
視聴者を突っ放しているようで果てしなくどこまでも巻き込んでいく、その感覚がサディスティック。