Gacharic Spin@4/2 六本木Morph

Gacharic Spin 1st Anniversary LIVE~衝撃!笑撃?SHOW劇~ 完全版 [DVD]

Gacharic Spin 1st Anniversary LIVE~衝撃!笑撃?SHOW劇~ 完全版 [DVD]

六本木でやっていたアイドル系ロックバンド、Gacharic Spinのワンマンへ。
アイドル系のいでたちではあるが、楽器隊の三人は全員教則DVDを発売するほどの腕前であり、
全員が他バンドでのキャリア持ちというバンドでもある。
そうは言ってもみんな僕より若いけどね。
音楽性としてはJ-POP風のメロディ+ジャパメタライクなリフワーク+ベキベキいいまくるスラッピングベース、という
何とも表現しづらい音像になっている。それだけ独特とも言えるが。


六本木morphは松屋の地下にあるという絶妙な立地のライブハウス。
地下3階建て構造になっており、地下1階がロビーと「二階席」、地下2階がドリンクコーナーとスタンドスペース、地下3階はトイレ。
建物も新しく、地下のキャパ300前後のライブハウスとしては天井がやや高めで爽快感がある。
一方ロッカーがなくクローク(\500)のみで、ロビーも狭いため、荷物の取り回しには非常に苦労する。
クロークの方が便利といえば便利だけど、そもそも「荷物を整理するスペース」さえないんだよなあ。
あと、ここは飲食物の持ち込みが禁止で、見つかると「それはそれはえらいことになる」そうなんで、一つ。


被災地への義援金ということで、主催者側でサイリウムを販売中(\300)。
原価数十円もしないサイリウムが300円だよぉ?と思う向きはあるが、実際、会場売りサイリウムは大体300円が相場だったりして。
まあ売上=義援金にするそうなんで、おまけみたいなもんかな。ちなみに色は青。
バンドの愛称はガチャピンだが緑じゃない。

ライブ開始

会場入りした当初は半分位の入りだったが、気がついたらほとんどフルハウスに。
機材チェックをスタッフさんがやってるのがちょっとメジャー寄りな感じ。
まあ、Syu(G、Galneryus)みたいにメジャーレーベル所属でも自分でやる人はいるが。


ライブは今回のライブを開催することにした経緯の説明VTRからスタート。
やる側にはやる側の苦悩やためらいがあるわけで、正直、どこもこんな話から始めにゃいけないってのは大変だなあ、と。


本編始まって、いきなり「Sexy〜!」「Foooooo!」の掛け合い。
VoのArmmyがこういうキャラなのでそういうやり取りなのだが、実際のところはここ一年余りのギミックなので
個人的には思ったより脅威を感じなかった。まあ、ワンマンなんで今更どん引くお客さんもいないしね。
僕はほら、過去に何度も天然危険物の相手をこなしてるんで、これぐらいは全然。
むしろ「ああ、帰って来てしまった」というこの感慨にふける。

各メンバーへの感想

そこからは既存曲を次々やっていく構成。
僕は1/4ぐらいしか知らないが、はな(Dr、ex.アルメリア)のパワードラミングがあるんで知らなくても十分ノれた。
元々、リーダーであるFチョッパー古賀(B、ex The Pink Panda)と彼女がコアメンバーであったのでボトムラインがしっかりしている。


チョッパー古賀のベースプレーは「スラッピングがしたくて前のバンドをやめた」と囁かれるくらい、
スラッピング(チョッパー奏法)を多用した高速ベース。
はなのドラミングは音がバカでかく、手数・パワー・ヴィジュアル*1とも申し分ない。
彼女だけドラムソロがあるが、ヘルメットを被ってそれを叩いたりしながら派手なドラミングを繰り出せる練度は驚嘆の一言*2
こんな二人の描く過剰なまでにグルーヴィーなリズム。それが良い。


ArmmyのボーカルはCDで聞いていると不安定になりそうなイメージだったが、安定したパフォーマンスを聞かせる。
元々彼女の苦味と湿り気を帯びた声質に惹かれるものがあって聞いていたので、これは美味しい。
あと客煽りも非常にアグレッシブで、やってて打ちがいがある。
「エンタテイナーとしての天性」というよりは、「ここまで培ってきたもの」を感じるが故に力が入る。
一年ぶりくらい、久しぶりにこちらからステージを煽る。
これはある程度以上の腕がないとやる気にならないから、彼女はもうそんなレベルは既に超えているわけ。
だが一流(われわれ)には その先がある!」
全く、この通り。


GはTomozo(ex.Euphoria)で、正直ミックスが引っ込んでいる感じはあるものの、メカニカルで艶やかなトーンは好み。
ネオクラ的な早弾きはやらないが、ライトハンドはこなす、というところでエディ・ヴァン・ヘイレン的な雰囲気がある。
つーか個人的に、この子はEZOとかが好きな気がする。どことなくSHOYOっぽいんだよね。
どちらかというとリフワーク寄りで、あまりギターヒーローっぽい立ち居振る舞いはしていないのだが、
やっぱりギターと女の子という取り合わせ、弦楽隊でやるフォーメーションはライブの華として絵になっている。


それに、ワンマンのゲストということで、鈴木玲緒奈(key、ex.Euphoria)が参加。お人形風の衣装が似合ってた。
専任keyを置かず、必要な時だけゲストを呼ぶというのも今のスタイルならまあ、アリか。
ギターとキーボードの掛け合いという「様式美」的なやり取りをやりそうな感じもないし。


全体に実力は折り紙付きといっていいと思う。
無論テクニックの天井はどこまでも高くそびえているわけで、上を見たらきりがないだろうが、
「そもそも本当に演奏しているのか?」というのがアイドル系バンドへの一般的認識であることを思うと、
語りうるレベルであるだけでもすごいという話。
まあ、「楽器をやっている人はともかく、そうでない人はすごすぎて引いてしまう」というファン側の悩みもあるようだが・・・

ライブ終了後

ライブは最後に、被災地に向けて思いを込めた「虹」を歌って終わり。
チョッパー古賀の友人も被災し家が流されてしまったそうだが、「いつかガチャピンさんとツーマンやりたいです」と言っているとか。
日常が回復されるにつれ、慢性化したダメージがボディーブローのように影響しつつある被災地。
変わらなければいけないことはあるけれど、少しずつ僕等も前に向かって歩いていかなければ。


ここに限った話ではないが、ライブハウスは入り口がボトルネックになってなかなか外に出られない。
ゴミ拾いなどして待っていると(ちなみにほとんどなかった)、
「皆さん今日はありがとうございましたー。上でチョッパーとTomozoが待ってまーす」と。


上に上がってみたら普通に握手会してました。
クロークがかりの代わりにチョッパー古賀が立っているので、預けた荷物が取れずキョドったまま握手。


koba「僕も地元仙台なんで、いつかライブにいってあげてくれると嬉しいです」
koba「最近落ち着いてきて、みんな疲れが出てきてるので・・・」
古賀「あー、そうですよねー・・・」
koba「僕も向こうに力を送れるよう頑張ります。*3
古賀「頑張りましょうっ」<一度離していた手をもう一度出して、握手>
koba「お互い頑張りましょう。」
koba「あ、素晴らしいベースプレーでした('A`)b」
チョッパー先生、苦笑してましたけどね。ちょっと話を飛ばしすぎ。


koba「その頭につけてる角って、AC/DCの悪魔の角?」
Tomozo「あー、ちょっと意識してます」
koba「Ah Yeah」
Tomozo「('A`)b」
Tomozo「やります?ランドセル背負って。
koba「そのうちやったらいいんじゃない?」
実際この子身の丈小さいし、似合いそう。
使ってるギターはSGじゃないけどね*4


帰りはスタッフさんとチョッパー先生のお世話で何とかクロークから荷物を受け取り、
インディーズなもんで全然買えなかったシングルCDを買って帰宅。

終わりに

行く前は正直チケットもなく、帰ろうかとすら思ったが、いざ入ってみればAnthem以来3年ぶりに、
(メロン記念日以外で)僕に着替えのTシャツを要求させるバンドが現れた。
快いを一歩追い込んだ疲労感があって、思わずぐったり。
良いバンド、良いライブだったかと言われれば色々考えることはあるが、好きなバンド、好きなライブであることは間違いない。
そんな思いを抱かせてくれるライブだった。


マジックを感じたというほどではないにしても、「今後の方針を決める上で、極めて有力な候補が現れた」といっていい。
4月17日にDVDの発売記念ライブがあるそうなので、まずは次、そこから。

*1:ボブ・ロンディネリを出すまでもなく、叩きっぷりはライブでのドラムを語る上で重要な要素です

*2:ちなみに、ギターとベースが出来て歌も歌えるマルチプレーヤー

*3:ちなみに、一応義援金を集める飲み会とか企画してます。参加者は一般募集していないのであしからず

*4:PRS Miraで、バンドとのコラボポスターもある